9月の衛生委員会のテーマは「感染症」でした。感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が体内で増殖することにより引き起こされる疾病です。「感染する(うつされる)側」と「ばらまく(人にうつす)側」について、病原体の種類によってそれぞれ適切に予防する(感染経路を断つ)ことが必要です。
風邪やインフルエンザなどの飛沫感染による感染症の場合、うつされないための予防策で最重要なのは「手を洗うこと」です。ウイルスを含んだ感染者の飛沫(くしゃみ等により飛散)が付着したものを手で触り、手を介してウイルスが口に入るというのが感染のメインルートです。空気中を浮遊するウイルスを吸い込んで感染する空気感染ではありません。市販の不織布マスクの性能は飛沫(5㎛)を透過しない程度ですが、ウイルスは0.1㎛ほどの大きさなのでほぼ素通しです。通常のマスクには、ウイルスの吸い込み防止効果は元々期待されていないのです。
一方、人にうつさないために重要なのは「咳エチケット」です。感染者の口からウイルスを含む飛沫が手へ、手からドアノブなどへ、そして他人の手から口へとウイルス飛沫がバトンタッチされて感染が広がっていきます。手放しでのくしゃみは言うに及ばず、くしゃみを手で受けて洗わないうちに公共の場所をベタベタさわる。これが感染拡大の正体ではないかと思います。マスクの感染予防能力は限定的ですが、飛沫拡散防止には大いに役立つはずです。感染の可能性(患者と接触、だるい、熱っぽい等)を感じたら、すぐにマスクをして飛沫をまき散らさない配慮をすべきです。