在宅生活を支援するということ

ヘルパーステーションもやい 管理責任者 伊東美輪

残暑が厳しいですが、皆さん体調は大丈夫ですか? 
今年の夏は文字通り「危険な暑さ」が続き、利用者様の体調を気遣うはずのヘルパーさんからも、不調の訴えが多くありました。
そんな時にも臨時のサービスを受けてくれた皆さんはもちろんですが、「うちは大丈夫だからヘルパーさんたちは気を付けて」と時間変更等に協力してくださった利用者の皆さんにはとても感謝しています。
私たちは病院や施設などとは違い、各ご家庭に訪問してのサービスです。
熱波の中でも急な雷雨の中でも自転車を走らせる大変な仕事だと思いますが、私たちは「住み慣れた自分の家で暮らしたい」と望む利用者様の支援をするプロです。
できる限りの努力を今後も続けていきましょう。

人生の終焉を在宅で、と望む人は約7割いらっしゃるそうです。
「住み慣れた場所で最期を迎えたい」「最期まで自分らしく好きなように過ごしたい」「家族との時間を多くしたい」などの理由があるそうです。
ある病院のソーシャルワーカーに聞いた話です。
Aさん(女性・80代)は病気で長期入院していましたが、治療も終わり退院の話になりました。
自身で歩くことはできず、車いすとおむつの生活になります。
娘様はじめAさんの家族は、自分たちが面倒を見るので今後の生活は大丈夫ですと言いました。
親子関係も良かったそうです。
ソーシャルワーカーは、家に帰っても介護保険を利用すれば安心だからと、話を進めていました。
ところが突然、本人から家には戻らず施設に入りたいと話があったそうです。
家族は当然家に帰って元通り一緒に暮らせると思っていたので困惑しました。
入院中、はたから見てもとても仲のいい親子だったそうです。
娘さんが説得しても、かたくなに在宅を拒みました。
ソーシャルワーカーが根気強く理由を聞くと「施設でお世話になったらありがとうって言えるけど、家に帰って娘に世話になったら、ごめんねって言わなくっちゃいけない。私は最期ありがとうって言いたいの」。
それを聞いたソーシャルワーカーは、本人の希望を家族に話し、家族も葛藤の末、施設に入ることに納得したそうです。
訪問介護に携わる私たちにとってはちょっと意外な結末ですが、入院生活を続ける中で、自身のこれからより、家族のこれからに重きを置いた決断にいたったのでしょうか。
最期をどこで迎えるか、もちろんそれも大切ですが、最期をどう迎えたいのかも、とても大切なことだと考えさせられた話でした。

私たちは色々な考えの末、在宅を選んだ人たちを支援しています。
最期をどう迎えるか、何が自分らしい生き方なのか。
人それぞれ、千差万別だと思います。
その人に寄り添った支援をすることはとても大変ですが、とても重要なことだと思います。
私たちはそんな大切な仕事を請け負っています。
これからサービスに入る前に、利用者の顔を思い浮かべてください。
その人がどう考えて在宅生活を選んだのか。
そのためにどんな支援を私たちに託しているのか。
考えながら行うと、いつもと違う何かが見えてくるのではと思います。

暑さ寒さも彼岸まで。
もう少しです。
元気な笑顔でお願いします!

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