秋の終わりに『食』を考える

ヘルパーステーションゆいま~る葛飾 管理責任者 渡辺久美子


今年は11月になっても夏日が数日続きましたが、朝晩は気温も下がり、秋の終わりを感じるようになりました。
真夏の暑さから解放されて過ごしやすくなり、そして、果物、野菜、魚など多くの食材が旬を迎え、まさに「食欲の秋」、食べる楽しみが増す季節です。
今はハウス栽培、外国からの輸入や冷凍等、一年中色々な食材が出回るようになりましたが、旬の食材は素材の味が濃く、旨味や香りが豊かです。
毎日の生活の中で食べる事は欠かすことができないだけでなく、家族、友人、誰かと一緒に食事をする事(共食)で美味しさも増し、楽しい時間を過ごせます。
食事の時間で生活が規則正しくなり、食品をバランスよく食べることで、自分の健康を実感します。

ところが現代では6つの【こ食】と言われる問題点があります。
家族不在の孤独な食事「孤食」、家族がそろっていても各々が好きなものを食べる「個食」、パン、ピザ、パスタなど小麦粉を使った主食を多くとる「粉食」、決まったものしか食べない「固食」、運動不足やダイエットから少量の食事しか摂らない「小食」、加工食品の多用で味の濃い食事を多く摂る「濃食」。
確かに自分の幼少期、昭和の頃と比べると頷けるものがあります。
その中でも、介護職ゆえに一番気になるのが「孤食」=ひとりでの食事です。

戦後の日本では、家族で食卓を囲み、揃って食事をとるのが当たり前でしたが、今では、生活時間の変化、男女の役割の変化、核家族化、社会の在り方が昔と変わった事により、家族全体が孤食、ひとりでの食事が多くなりました。
単独世帯、特に65歳以上の高齢者では、ひとり暮らしの割合が増加し、2040年には20%以上になると推計されています。
また、家族同居でも、その殆どの方が「ひとりで食べたくないけど、食事の時間が合わないから仕方がない」と思っています。

介護サービスを利用している方は、希望があれば、週に数回でも、デイサービスで皆と一緒に食事をする機会を持てます。
訪問介護では、ヘルパーさんがご自宅で一緒に食事はできませんが、楽しい時間を感じてもらう事はできると思います。
食事介助をしながらお互いの顔を見て何気ない話をしたり、ひとりで食べられる方でも「美味しいね」と言葉にするとヘルパーさんから返事が返ってきます。
食事をしているのはひとりでも、同じ場所に誰かいる、いわゆる「孤食」ではありません。
ヘルパーさんの役割は大きく、買物、調理のサービスであれば、何を買うか作るか相談しながら、旬の食材、季節、懐かしい食事等、食を通じて会話が広がります。
誰もが食事を楽しみたいと望んでいます。

まずは自分が健康でいること。
春は筍、秋は栗ご飯、少し手間はかかりますが、それは私の毎年の楽しみであり、家族も大好きで一緒に旬の味と香りを楽しんでいます。

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