(1) 訪問介護の介護予防給付が、葛飾区は4月から足立区は10月から、「介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)」に移行します。各自治体独自の基準に基づく訪問型サービスという内容で、いわば地域介護制度です。
介護報酬が介護保険制度報酬より減額になるのが大きな変化です。経営的にも厳しい状況になることが予想され、将来的には訪問介護が先細りになる心配があります。
足立区では具体的な内容が発表されていないので、先行する他区の例を参考にして書式等の改訂を行い、順次研修を行う予定です。
まず制度を知り、総合事業を好きになり、正しいサービスを提供できるようになりましょう。
(2) 総合事業創設は、地域包括ケアシステム構築の第一歩といえます。
地域包括ケアシステムの原点と言われるのは、新潟県長岡市こぶし園の考え方です。それは、地域がひとつの施設・病院となること、地域の道路が施設の廊下であり自宅が施設の居室となるというものです。
これまでの在宅介護は、家族介護を前提としていますが、「地域が施設となる」には家族を前提としない介護の在り方を創らなければなりません。
介護予防の目的を考えてみますと、運動機能や栄養状態の改善だけではなく、家庭や地域の中で生きがいや役割を持って生活できることです。
これからの介護予防は、高齢者本人を取り巻く生活環境の調整を行うことにより、生きがい・役割を持って生活できる地域を作ることが目的となります。
そのような地域で、要介護者やご家族を支えようという取組みが、地域包括ケアシステムといえます。
具体的には住まいを中心とした地域に、医療・介護・生活支援・介護予防のサービスが、30分以内に一体的に提供できる体制を整備することです。
(3) 少子高齢社会が進行すると、労働人口が減少して経済成長が停滞します。また高齢者の増加に伴って社会保障費が増加し、社会保障財政が苦しくなります。
高齢者介護事業は介護保険制度だけでは財政的に賄いきれず、地方公共団体に任せなければ立ち行かなくなると考えられます。地域による介護は、財政面からも求められることになります。
財政も人材も不足を極める介護業界ですが、介護報酬の減少によってさらに厳しい状況に向かうことになります。今やるべきことは、新しい事業や別の仕事を始めることではなく、現在の事業や今の仕事に最大の力を注ぐことだと思います。
地域に根ざした地域密着の経営を続け、訪問介護の専門店というべきサービス提供をこころざしましょう。
企業は人なりといいますが、当社にはその人材が揃っています。